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札幌家庭裁判所 平成10年(家)769号 審判

申立人 与田孝行

相手方 与田裕子

主文

本件申立てを却下する。

理由

第1申立ての趣旨及び実情

申立人と相手方は、東京家裁平成8年(家イ)第××××号夫婦関係調整調停事件において、平成8年11月27日、将来円満な夫婦生活を営むことを目的としてその方途につき冷静に再考するため当分の間別居することを合意し(前記調停条項第1項)、以来別居状態のまま既に相当の期間が経過したものであるが、〈1〉その間申立人は前記事件において成立した調停条項を誠実に遵守し、円満な家庭の構築に向けて努力してきたうえ、〈2〉申立人の年齢及び今後の収入の見込み等に照らし、これ以上別居状態を続けることは経済的に困難であるばかりでなく、2人の子どもの福祉のためにも問題があり、〈3〉別居に至る主要な原因であった申立人の父との同居の問題については、既に同人が逝去したことにより解消されているから、相手方に対し、申立人と同居するよう命じる審判を求める。

第2認定した事実

本件、平成9年(家イ)第××××号夫婦関係調整申立事件及び平成10年(家イ)第××××号離婚調停申立事件の各記録中の資料を総合すると、以下の事実が認められる。

1  東京家裁平成8年(家イ)第××××号夫婦関係調整調停事件における調停成立までの経緯

ア  申立人(昭和17年3月25日生)と相手方(昭和36年4月27日生)は、平成2年5月ころ職場の研修旅行で知り合い、同年11月30日婚姻の届出をして夫婦となり、平成3年7月17日長女明日香が生まれた。平成3年10月ころ、申立人は、習志野支店に転勤になったことから、東京都墨田区の申立人の父の家で同人と同居することとしたが、当時相手方が長女出産のため札幌の実家に戻っていたこともあって、そのとき相手方との間で十分な話し合いをしなかった。同居後間もなく、申立人の父が週2回の人工透析と食事療法を必要とする状態になり、相手方が病院への送迎などの面倒をみるようになったが、当時は生まれて間もない長女の育児にも手がかかる状態であったことから、相手方は大きな負担感を持つようになった。相手方は、申立人に対して不満を訴えたこともあったが、申立人には取るに足らないことと感じられ、感情的になって相手方との関係がこじれることを懸念した申立人は、あまり反論などはしなかっな。また、長女の言葉の発達が遅いことを心配した相手方がその旨友人に相談したことを申立人に伝えたところ、申立人は、そんな友人とは付き合うなと言うだけで取り合わないといったことがあり、総じて夫婦で一緒に話し合い、考えるという傾向に乏しかった。

イ  平成7年4月11日長男孝太が生まれた。申立人と相手方は、その1か月位前から、相手方からの一方的な求めにより寝室を分けるようになっていたが、長男出生後もそのままであった。平成8年5月の初めころ、申立人と相手方は、些細なことで口論をしたが、その際、申立人が手をあげたこともあって、相手方は子らを連れて札幌の実家に帰った。同月末、申立人が札幌まで迎えに行って謝罪したことから、相手方は、1か月ほど様子を見るつもりで一旦帰宅したが、申立人の態度に変化がないと感じ、同年6月、東京家裁に離婚のため調停を申し立て(事件名は「夫婦関係調整」)、再び札幌の実家に帰った。

調停では、申立人は、相手方や子らのためにならないとして離婚を拒否した。相手方は、当初、申立人の父との同居の不満、申立人が自宅を修理しないこと、申立人の飲酒などを理由に強く離婚を主張していたが、反面、収入が無く期日に出頭するための旅費も申立人に依存している状況で、子らに対する責任が取れるか自信もなく、調停委員からも別居は相手方のわがままであると諭され、期日を重ねるうちにやり直す方向で考えるようになり、同年11月27日、申立人と相手方は、将来円満な夫婦生活を営むことを目的としてその方途につき冷静に再考するため当分の間別居することで合意した。その際、別居期間中、申立人が相手方に対し、月額13万円の婚姻費用を支払うこと、相手方が帰宅することになったときは、申立人の父の介護が相手方の負担にならないよう配慮するとともに自宅の修理についても相手方と協議し、合意した範囲で実行すること、双方が自分の意思を相手に遠慮せずに伝えると共に相手の意見も良く聞き、一方的に自己の意見を相手に押し付けることをせず、相互のコミュニケーシヨンを図るよう常に留意することなどを併せて合意し、調停が成立した。

2  前記調停成立後、本件に至るまでの経緯

ア  調停成立後、申立人は、申立人の父を施設に預ける準備をし、断酒し、電話をしたときは相手方の話を良く聞くようにも努めたが、相手方が冷静に考える時間を持てるようにという気持ちから、頻繁に電話をすることは避けていた。他方、相手方は、ある団体の主催するセミナーに参加し、そこで「自分なりの生き方を見つめ直した方がよい。」などと助言されたこともあって、気持ちは再度離婚に向いていった。申立人は、正月に帰宅するよう相手方に話したが、相手方はこれを拒み、結局、同居について十分に話をしていないうちに、平成9年1月21日、申立人の父が他界した。相手方は、申立人の父の葬儀で上京した際、改めて申立人に対し、離婚したい旨を告げたが、申立人は応じなかった。同年4月、四十九日の法要の際、相手方は再度離婚の意思を申立人に伝えたが、申立人は応じず、以後、それまで月額20万円送金されていた婚姻費用が調停条項どおりの13万円に減額された。その後は、相手方から申立人に電話をするのは送金の札を言うときくらいとなり、申立人から電話をした際も、申立人がすぐに子らと代わるよう求めるような状態となった。その後も、申立人と子らとの面接のため、2、3か月に1度以上の頻度で家族で会うことはあったが、宿泊を伴う場合には相手方は参加せず、また、子らの前で夫婦の問題を話し合うことは避けていたため、結局、夫婦間には何らの話し合いもないままに期間が経過した。

イ  相手方が戻る様子を見せないことから、申立人は、平成9年12月15日当庁に対して、夫婦関係調整の調停を申し立てた。お互いの主張に変化がないまま、調停は平成10年4月13日不成立で終了したが、終了直後、相手方が申立人に対し、土下座するので別れて欲しい旨申し入れたところ、申立人は、相手方に対し、「土下座などしなくてよい。こんな非情な女とは別れる。」と告げ、子らの親権については裁判で争うとの意向を示していた(なお、本件の審判再移行前の調停最終期日において、申立人は調停委員会に対し、申立人が前回の調停の最終日において、離婚には応じるが親権は裁判で争う旨を述べた事実はなく、もし合意できないならばそのようになるという調停委員会からの話があっただけであると主張し、前記の事実を否定している。しかしながら、記録中の関係資料によると、申立人の真意がどこにあったかは別として、前回調停の終了の前後に申立人が相手方及び調停委員会に対し、離婚には応じてもよいが、親権は裁判してでも争うとの意向を示していた事実は認められる。)。また、同じ4月ころの申立人の父の一周忌の法要の際にも、相手方から離婚したい旨の申し入れがあったのに対し、申立人は、自分が相手方の立場であれば平謝りにして戻ってくるであろうとの趣旨を告げてこれを拒否した。

ウ  相手方は、前記の調停終了後に弁護士に相談したが、自分から裁判をすると費用もかかるので申立人が手続を取るのを待っていた方がよいと助言されたことから、離婚訴訟の提起などの措置をとらなかったところ、平成10年5月27日申立人の方から、当庁に対して本件審判の申立てがなされた。申立てを受けた当裁判所は、事件を調停に付したが、1回目の調停期日の後に相手方から離婚調停の申立て(平成10年(家イ)第××××号事件)があるなど、双方の主張が平行線であったことから、家庭裁判所調査官による包括調査を行った。そのうえで同年11月11日3回目の期日を開き、双方の意見を再度聴取したが、双方とも意向に変化はなく、前記離婚調停は不成立となり、本件は審判手続に移行した。その際、申立人は、現時点で相手方は同居を拒否しているが、それは相手方やその親族の不条理な考え方や甘い現状認識に基づいてのことであり、裁判所が審判によりその非を指摘して同居を命じ、そのうえで申立人がさらに時間をかけて説得すれば、翻意する可能性があるから、早急に同居を命じる審判を求める旨を述べ、相手方は、やや情緒的に混乱した様子を示しながら、たとえ審判により同居を命じられても絶対に同居には応じない、申立人が同居にこだわるのは子どもたちと一緒に暮らしたいからであって自分に対する愛情からではない、もし同居を命じる審判がなされ、裁判所の審判には従わねばならないということなら、子らを引き渡して離婚するしかないのかもしれない旨を述べた。

第3当裁判所の判断

1  夫婦同居を命じる審判の性質及びその判断基準等について

夫婦は、合理的な理由のない限り、同居すべき義務を負っているが(民法752条)、この義務は、婚姻費用の分担義務などと大きく異なり、その性質上任意に履行されなければその目的を達成できないものであり、いかなる方法によってもその履行を強制することは許されないというべきである。そうすると、家事審判法9条1項乙類1号に定める夫婦の同居に関する処分として、同居を拒んでいる夫婦の一方に対し、同居を命ずる審判をすることが相当といえるためには、同居を命じることにより、同居が実現し、円満な夫婦関係が再構築される可能性が僅かでも存在すると認められること、つまるところ、同居を拒んでいる者が翻意して同居に応じる可能性が僅かでもあると認められることが必要であると解すべきである。

これに対し、夫婦である以上同居義務があるのであって、同居を拒否する意思がいかに固くとも、同居を拒否する正当な理由がない限り、同居を命ずる審判をすべきであるとの見解もあろう。しかしながら、同審判は、夫婦を同居させて円満な夫婦関係を再構築させることを究極の目的としてなされる家庭裁判所の後見的処分の一環であって、同居が実現されないことに対する帰責性が夫婦のいずれにあるのかを確定することにその本旨があるわけではないと解すべきであるから、同居を拒んでいる夫婦の一方に翻意の可能性が全くない場合には、前記の同居義務の性質に照らし、同居を命ずる審判をすることは相当でないというべきである。

もっとも、夫婦の一方が一見強固に同居を拒んでいるように見える場合であっても、それが自己の経済状態その他の現状を無視し、今後の生活設計などに関する具体的な展望を欠いた浅薄な考慮に基づくものであったり、当該夫婦のそれまでの生活史や紛争の過程において生じた様々な誤解あるいは意見・価値観の対立に起因している場合などは、家庭裁判所が審判により、同居を拒んでいる夫婦の一方に対し、現状を正しく指摘して認識させ、あるいは、紛争の過程で争点となった様々な事項について、事実を認定して誤解を解き、法律や条理に従った一定の見解を示すなどして同居を命じることにより、同居を命じられた者が自己の非を認め、あるいは、自己の立場をもう一度冷静に見つめ直すなどして翻意に至るということもないとはいえない。そうすると、前記の翻意の可能性の有無の判断においては、単に審判時に夫婦の一方が現に強く同居を拒んでいるという一事をもって即断すべきでなく、同居を拒んでいる真の理由、当事者間の婚姻関係の破綻の程度、それに対する当事者双方の有責性、当事者の経済状況、特に同居を求める側から同居を拒否する側に婚姻費用が支払われている場合は同居を拒否する側の生活がその婚姻費用に依存している程度、未成熟子がある場合にはその状況、さらには審判がなされること自体による影響力をも含めて総合的に考慮したうえで客観的に予測されるところの将来的な翻意の可能性についても可能な限り考察すべきである。

2  本件における相手方の翻意可能性に関する考慮事情

ア  相手方の同居を拒否する意思の強さ

前記のとおり、相手方は、離婚の決意をして東京家裁の調停に臨んだものの、調停の過程において調停委員から説得されたこともあって一旦翻意し、さらにその後、民間のセミナーに参加して再度翻意したという経緯がある。しかしながら、平成9年1月に再度離婚の意思を表明してからは、離婚のための具体的な行動を自ら起こしたことはないものの、約2年間にわたり、調停の内外を問わず一貫して離婚の意思を表明し続けていた。本件申立て後は、申立人の同居審判請求に対抗するかたちで離婚調停の申立てを行い、離婚の意思を明らかにするとともに、一貫して強く同居を拒否し、仮に、審判により同居を命じられ、同居を拒否し続けることにより結果的に子らを申立人に引き渡さざるを得ないような事態となったとしても、それでも同居はしないと述べているなど、その拒否の意思は極めて強固である。

イ  相手方の同居拒否の理由

相手方が申立人との同居を拒否する現時点での真の理由は、相手方において、申立人には相手方を対等なパートナーとして夫婦関係を構築しようという意思が欠けているうえ、子らに対しては別として、相手方に対しては既に愛情を失っており、今後、同居して円満な夫婦関係を回復することは全く不可能な程度に婚姻関係が破綻していると感じていることにあると認められる。相手方は、東京家裁における調停時には、申立人の父との同居、家の修繕、申立人の飲酒などを理由にあげていたが、現在ではこれらの問題は既に解消ないし改善されている。また、別居の直接の発端は申立人が手をあげたことであるが、これ自体は単発的な出来事で、申立人の暴力が同居の障害になっているとも認められない。

ウ  婚姻関係破綻の程度と当事者双方の有責性

東京家裁における調停成立後に相手方の意思が再び離婚に転じて以降、現在まで、相手方の離婚意思は強まる一方である。これに対し、申立人は、別居期間中、婚姻費用の支払いを十二分に実行し、断酒もするなど調停条項の遵守に努めてきた。現在の申立人の心情は、平成10年9月3日付け陳述書のとおりであるが、その要旨は、相手方は、申立人の苦しみを理解することなく2年数ヶ月にわたってわがままな別居を続けてきたのであり、そのうえ、離婚はしたい、子どもは離さない、養育費は欲しいというような身勝手な要求を受け入れることは到底できない、相手方が心を入れ替えてくれれば過去のことは全て許す気持ちはあるが、相手方が戻らないのならば、子ども2人を引き取り養育する覚悟でありその能力も十分にある、相手方の離婚請求には応じないが、子ども2人の養育をまかせて引き渡すということなら話は別である、というにある。その心情にはもっともなところがあり、第三者が安易に批判を差し挟むべき筋合いのものではないが、ただ、相手方やその親族の態度に対する憤りがやや先行し、子らに対する愛情は別として、相手方に対する愛情や、相手方を対等なパートナーとして夫婦関係を再構築しようとする意欲といったものについては、必ずしも十分には感じられない。総じて、東京家裁における調停成立時と異なり、当事者間の婚姻関係は、ほぼ破綻の域に達していると認められる。

もっとも、その原因は、前記調停成立後ほどなく相手方が翻意したために、調停の遵守事項でもあった「相互のコミュニケーシヨンを図る」ことが実現されないまま月日が経過したことにあり、この点について、当事者の一方に特段の責任があるとはいえない。相手方が調停後ほどなく翻意したことについては、仮に道義的には非難が可能であるとしても、それをもってただちに有責性があるとまではいえないし、他方、申立人においても、相手方との精神的な繋がりを構築するための十分な働きかけを行ったとはいえないにしても、その他の調停条項を極めて誠実に遵守してきており、ことさら相手方の同居拒否を招来するような行動はなく、何ら有責性はないというべきだからである。

エ  当事者の経済状況

相手方は、東京家裁における調停成立以後、申立人から定期的に婚姻費用の支払いを受けて生活してきた。現在も、申立人からの婚姻費用月額13万円を受け取っているほか、パートで月5、6万円の収入があり、月額家賃3万円のアパートで7歳の長女、3歳の長男と3人で暮らしている。

申立人は、現在、勤務先から月額手取り約40万円、ボーナス時約50万円の収入があるほか、駐車場の賃貸料として月額14万円を得ているが、来年度から給与が大幅に減額される見込みであるうえ、定年退職を4年後に控えているところ、2人の子らが成人するまで今後なお長期間の監護養育を必要とすることから、将来的には現在のような別居生活を経済的に支えることは不可能となることが予想される。

以上のような状況にあって、相手方は、平成9年1月以降一貫して離婚意思を表明していながら、前回調停が不成立に終わった後も、何ら離婚のための具体的な行動に出ることがなかったが、この点は、婚姻費用の支払いを受けて東京と札幌に離れて別居している現在の状態が、離婚を望む相手方にとって結果として特に不満のないものであったことによると認められる。相手方は、本件進行中に離婚調停を申し立てているが、申立人からの婚姻費用の支払いが停止した場合や離婚が成立した場合の生活設計について具体的な見通しを確立するまでには至っていない。

オ  子らの状況

申立人と子らは、別居後、2、3か月に1度以上の頻度で、泊まりがけの場合には申立人と子らで、日帰りの場合には相手方も同伴して面接交渉を実施している。当事者双方とも、子らの面前では一切争いを避ける配慮ができており、面接交渉は円滑に実施され、子らも父親と会うのをそれなりに楽しみにしていることが認められる。

3  結論

本件における相手方の離婚の意思及び同居を拒否する意思は極めて強固なものであるところ、さらに前記2の諸事情を総合考慮しても、今後相手方において、翻意して申立人との同居に応じる可能性はないといわざるを得ない。なぜなら、相手方においては、既に自己に非のある部分についてはそれなりに十分認識しているし、今後は今までのように経済的に申立人を頼ることができなくなるであろうことも、現時点では十分に認識していると認められるからである。

なるほど申立人の心情にはもっともなところがあり、かつ、別居期間中の申立人の態度には誠に誠実なものがある。他方、相手方は、離婚を度々口にしながら具体的な行動をとることなく申立人の支払う婚姻費用に大きく依存した別居生活を約2年間継続してきたもので、申立人の側からみれば、別居して婚姻費用の支払いを受け続ける生活が維持されることこそが相手方の望みであって、本気で離婚を考えているようにはみえず、今後、申立人が経済的事情で現在の婚姻費用を支払い続けることができなくなり、また、裁判所が相手方の身勝手な態度を非難して同居を命じる審判を下せば、相手方が同居に応じる可能性があると考えるに至ったことも無理からぬところといえる。このような状態を招来したことについて、相手方に対して道義的な批判を加えることは可能であろう。しかしながら、相手方は、仮に審判により同居を命じられた場合、子らを引き渡さなければならない事態となったとしても、同居には応じない旨を明言している。もとより、子らを引き渡しても、という点は、熟慮のうえでなされた発言ではなく、むしろ情緒的な混乱の中で表明されたことであって、現在、相手方が子らを引き渡すことに同意していると理解すべきではないが、反面、相手方の同居拒否の意思は、前記の経済的な事情等により簡単に覆る程度のものではないことを示していると理解すべきである。さらに付言すると、このような相手方に対し審判により同居を命じることは、相手方の心理により大きな混乱を生じさせ、相手方の子らに対する監護養育態度にまで影響を与え、ひいては、子らの福祉を阻害する結果を招来するおそれがないとは言い切れない。

以上により、申立人の心情については十分理解できるものの、本件申立てについては却下するほかないから、主文のとおり審判する。

(家事審判官 綱島公彦)

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